研究実施計画に従い、砕波段波に伴う流木を対象として、任意開度を有する構造物に衝突時の見かけの質量係数、同構造物への衝撃力継続時間、流木の移動速度などについて実験的検討を行い、対象流木による最大衝撃力の評価方法の開発を試みた。本年度に得られた主な結論は次の通りである。 1.構造物の開度、段波の強さ、段波波高と流木径の比や細長比など次第で、流木の衝撃力は、段波そのものの衝撃力に比べて、無視できない。 2.流木の質量係数は約1.5であった。この値は従来の報告値1.5〜1.6とほぼ同じである。 3.砕波段波に伴う流木の見かけの質量係数は、開度に対してほぼ放物分布するが、段波の強さ、段波波高と流木径の比や細長比にはほとんど依存しない。 4.流木の衝撃力継続時間は、開度が大きくなるにつれて長くなり、しかも開度に対して相似性を有する。ただし、開度≧20%での衝撃力継続時間の変化は小さい。 5.流木の移動速度と衝撃力継続時間には、Froudeの相似則がほぼ成立する。 6.流木の衝撃力継続時間は、実際的な細長比の範囲内では、細長比にあまり依存しない。 7.限られた条件での実験結果に基づき、流木による最大衝撃力の一評価方法を提案した。 次年度は、データの蓄積と共に、衝撃力継続時間や最大衝撃力の理論的評価方法の検討を行いたい。沿岸貯木場の実態、サージ・フロントに伴う場合や複数本連なった場合などの流木衝撃力についても検討を行いたい。
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