研究概要 |
砕波段波に伴う流木を対象に,前年度とは異なった条件で実験を行い,データを蓄積すると共に,サージ・フロントに伴う場合と2本連なった場合の流木衝撃力等の実験も行った.弾塑性理論に基づく流木の最大衝撃力,衝撃力立ち上がり時間と反発係数に関する理論的検討も行った.本年度に得られた主な結論は次の通りである. 1.データ蓄積後の解析においても,砕波段波に伴う流木に対する主な結論は前年度と変わらなかった. 2.サージ・フロントに伴う流木の見かけの質量係数,移動速度と衝撃力継続時間の検討を行い,最大衝撃力の一評価法を示した. 3.サージ・フロントの場合の見かけの質量係数は砕波段波の場合のものよりやや大き目である. 4.サージ・フロントの場合の衝撃力継続時間は開度に関係なくほぼ一定である. 5.2本連なった場合の最大衝撃力は1本の場合の2倍と1本の場合の長さを2倍にしたものとの間になる. 6.弾塑性理論に基づき,被衝突物へ任意角度で衝突する流木の最大衝撃力,衝撃力立ち上がり時間と反発係数の評価法を考案した.本評価法は被衝突物の撓みや流木の水平回転角速度をも考慮したものとなっている.流木の内部減衰が無視できる場合の最大衝撃力については近似解を,さらに被衝突物の剛性が無限大の場合については解析解を誘導した. 今後は,櫓を組み,流木を吊って振る方法で実際規模に近い実験を行い,流木の先端部降伏応力,反発係数,衝撃力立ち上がり時間,最大衝撃力等の検討を行い,弾塑性理論に基づいた評価法の精緻化を行っていきたい.
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