(1)沖合養殖いけす施設の波浪応答計算法に関して、以下のことが明らかとなり、その手法の開発を完了した。(1)平面網地に作用する外力を、ほぼ正しく見積ることが可能な算定式が本研究で得られた。またその式を用いていけす施設の動揺計算を行い、実測値と比較し、ほぼ満足しうる精度で再現していることがわかった。いけす施設の保留索張力についても、計算値と実測値の比較を行ったところ、両者の値はよく一致した。これらの結果については、学会で論文発表を行い、多くの研究者の関心を呼んだ。 (2)つぎに、いけす施設の波浪動揺観測装置の開発を試みた。6自由度の浮体動揺を、3成分加速度計、2成分傾斜計、方位計で測定できることが明らかとなり、その解析法を検討した。その結果、(1)加速度波形に、ノイズが混入するが、FFTによりフィルターリングで主要な加速度成分を分離抽出できること、数値積分を施すことで、浮体の動揺量を正しく産出できることがわかった。(2)浮体の動揺量をビデオ解析から求め、観測装置の出力値と比較し、満足しうる精度で動揺量を測定できることがわかった。しかし、不規則波浪に対しては、数値積分時の係数のとり方に注意する必要がある。 (3)上記の観測装置を防水函体内に設置し、現地観測装置を作成した。観測用の沖合いけす施設は、神奈川県水産試験場の小田原分場沖合、水深70mに設置されている。この施設に観測装置を設置し観測を行ったが、当初、調整の不良、作動不良で、十分な観測を行えなかった。現在、再調整の後、同施設で観測を続けており、この結果については、今後学会等に発表する予定である。
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