研究課題/領域番号 |
04650464
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
柿沼 忠男 愛媛大学, 工学部, 教授 (70036408)
|
研究分担者 |
井内 国光 愛媛大学, 工学部, 助手 (90145061)
中山 祐輔 愛媛大学, 工学部, 助教授 (60036233)
|
キーワード | 小島 / 地下水 / 塩水浸入 / 肥料汚染 / 安定同位体 / 瀬戸内海 / サンゴ礁 / 淡水レンズ |
研究概要 |
昨年度に引き続き、瀬戸内海の一小島(愛媛県興居島(133°40'E、33°54'N)、面積9.27km^2)において、地下水位、電気伝導率および各種溶存イオンの連続観測を行った。台風後の地下水の回復状況は次の通りである。海岸付近のある井戸では回復に2年以上を要し、未だ回復していない井戸もある。侵入直後のイオンのヘキサダイアグラムは海水と同分布形を示す。各イオン濃度の減少の仕方は異なり、ナトリウムが最も速く、塩化物イオンが最も遅い。カルシウムイオンとマグネシウムイオンは台風直後よりも1ケ月後にピークが現れ、以後、減少傾向を示す。井戸内の鉛直分布をみると、塩化物イオンは表面では減少傾向を示し、底面では変化はほとんどみられなかったが、中層では逆に増加傾向を示す。島しょ部の地下水塩水化現象を解析する水理モデル検証のために、砂モデル実験を被圧帯水層への塩水侵入と淡水レンズの両者について行った。その結果、被圧帯水層の塩水侵入について、境界要素法による淡塩水境界面モデルの場合、塩水楔は実験結果より奥に侵入しているが、Dupuit近似を採用した解析解よりは実験結果との一致がよい。また、水位勾配が大きいほど実験結果に近づく。分散モデルを採用した場合、速度依存分散係数を用い、Cauchy型の境界条件を採用した場合が、より実験結果に近い結果が得られた。淡水レンズについて、淡塩水境界面モデルでDupuit近似を採用した場合、解析結果は実験結果より少し上方に位置する。淡塩水境界面モデルと分散モデルをキリバス共和国クリスマス島に適用して淡水レンズをシミュレートし、環礁における地下水供給量を推定した。その結果、分散モデルによる推定値は年間降雨量の3.5〜10.8%であり、淡塩水境界面モデルによる推定値の63〜78%である。
|