得られた成果を順を追って列挙する。 1)Segur・Finkel(1985)にならいながら、与えられた二つの波が角度を持って重なる場合にできる波の場を、浅海、弱非線形解の仮定の下で近似的ながらも簡単に計算する方法を提案した。 2)その方法により非線形効果による波峰高さの増減を求めたところ、交差角18度近傍で増加率が最大となる。その値そのものはア-セル数によるが、ア-セル数90付近で線形解の1.3倍である。交差角が小さい場合は線形解よりも低くなる。 3)計算で得られた結果を実験において検証するために、多方向造波装置の性能実験を行ったところ、単一方向波においても波高が3〜4割もの空間的変動を持つことがわかり、このままでは非線形効果の検出は難しいことが判明した。 4)一様な波浪場を作り出すために、多方向造波装置の造波理論の研究を行った。その結果、理論的には、造波板端部の振幅を制御すること(端部制御法)により波高変動を抑えることができることがわかった。 5)端部制御法の有効性を実験的に確認した。 以上が2年間での成果であるが、その後研究を進めた結果、ここで得られた近似解は従来あるものに比べれば、実験との一致は良いもののまだ改良の余地があることがわかった。特に交差角の小さい場合は実験も難しかった。
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