研究課題/領域番号 |
04650472
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研究機関 | 国立環境研究所 |
研究代表者 |
平田 健正 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 主任研究員 (30093454)
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研究分担者 |
安原 昭夫 国立環境研究所, 化学環境部, 室長 (00101048)
中杉 修身 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 上席研究官 (50109899)
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キーワード | 土壌汚染 / 地下水汚染 / 揮発性有機塩素化合物 / トリクロロエチレン / 浄化技術 / 土壌ガス / 土壌ガス吸引 / 地下水揚水 |
研究概要 |
トリクロロエチレンなどの揮発性有機塩素化合物による土壌・地下水汚染の浄化技術は、欧米から導入された技術やわが国独自で開発された技術を含めて、様々な浄化技術が考案されている。こうした技術の中で、これまでにわが国の汚染現場に適用されているのは土壌ガス吸引、地下水揚水と土壌除去の物理的な浄化技術であり、平成5年度はこれらの技術をいくつかの汚染現場に適用して、浄化効果や適用限界などを評価した。 まず、土壌ガス吸引技術について、地下50mの深い土壌がトリクロロエチレンで汚染された現地に適用したところ、対策初期には毎時1kgのトリクロロエチレンが回収され、確かに効率よい浄化技術であることが実証された。ただ、土壌ガス吸引は基本的には不飽和土壌を修復する技術であり、汚染された地下水を浄化するには地下水を揚水する必要がある。したがって、この汚染現場でも地下水の揚水も同時に行っており、両者のトリクロロエチレン除去率の比較をおこなった。結果は、対策初期には土壌ガス吸引による除去率は地下水揚水を1桁上回っていた。ところが土壌ガス吸引の除去率は地下水揚水よりかなり早く低下するため、両者の除去率は対策の進展とともに逆転することが明かになり、交差した以降は地下水揚水の方が効率的な汚染物質除去技術となることが分かった。また、汚染土壌を除去した現場でも地下水の回復状況を監視しているが、土壌掘削後に継続して地下水を揚水し、数年間で十数トンのトリクロロエチレンを除去して、地下水濃度を水道水質基準値近くまで浄化した事例もある。これらの結果から、地下水揚水による汚染の浄化には時間はかかるが確実に汚染物質を除去でき、長年の揚水で土壌ガス吸引や地下水揚水より多量の汚染物質を回収できる可能性のあることが明らかになった。
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