本研究は、買物交通行動に着目し、駐車施設容量と需要の関係をマクロに記述する自己組織化モデルの開発を行なうことを目的とする。具体的には、駐車場の混雑パターンを出力層とし、施設別駐車需要パターン・周辺道路混雑パターン・目的施設と駐車場とのアクセスパターンを入力層として、かつ駐車場に関する情報量の差がもたらす駐車場探しのうろつき行動を学習アルゴリズムとする自己組織化モデルを構築する。モデル構築にあたっては、地下駐車場の特性である地下空間の移動という不案内性を学習アルゴリズムに組み込むことと、地下駐車場から目的施設までの上下移動(地下歩行路等)抵抗を入力層に明示的に組み込む。 研究初年度は、(1)実態調査の実施、(2)学習アルゴリズム化、(3)簡単なケースにおけるモデル構築を行なった。 (1)実態調査の実施:出力層、入力層および応答関数作成のための実態調査を、札幌市の大道り地下駐車場とこれを含む500mの街区にある路外駐車場において実施した。調査は、サンプル調査による当該街区の一日の買物交通における時間帯別駐車状況の把握と駐車場探しの実態調査である。 (2)学習アルゴリズム化:上記データにより、応答関数の設定と、階層型の応答関数の組合せ構造を作成した。 (3)モデル構築:駐車場が数個の場合をケーススタディとして、数値計算を行い、簡単なケースにおけるモデル構築とモデル感度分析を終了した。
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