本研究は、交差点における自動車や歩行者の動きをビデオに録画した映像から、画像処理装置を用いて交通流のデータを人手を介さずに自動的に入力する方法を開発しようとするものである。 本年度はまず基礎研究として現有の設備(ビデオカメラ、VCR、画像処理装置)を利用して、自動入力の手法の改善を試みた。特に昨年度購入したRS-232C対応のVCRにより、コンピュータによる対象画面の選択および画面送り制御が可能となった。その結果、調査したい交通状況をビデオ画面上で的確に把握する事が出来、決められたフレームまでの早送りも容易に出来るようになり、自動入力の開始時点およびスキップフレームの設定が可能となった。 具体的な車両認識の手法としては、短時間離れた2つの原画像の間で絶対値差分を行い、二値化して得られるマスクパターンを作る。これを原画像にフィードバックして微分し、この画像と原画像の微分画像との差を絶対値差分画像に加えることを繰り返すことにより、対象物をより原型に近い形で抽出することが出来た。この方法は本研究で新たに開発されたもので微分成長法と名付けた。こうして抽出された対象物(ここでは自動車)の重心を認識してその移動の方向や距離を自動的に計測することが出来た。この手法により得られたデータをこれまでの方法によるデータと比較するとその精度の格段の向上が見られた。 なお本年度の研究成果については、国内の土木学会で発表した。また今年6月にアメリカで行われる第5回土木建築におけるコンピュータ利用に関する国際会議(ICCCE)において発表する予定である。
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