本研究は、作業要素の作業日数、作業中断の可否、および作業間の重複関係に関する3つのあいまい推定を考慮しながら、現実の中断を忠実にとらえた工程計画手法を開発すると共に、これをさらに一般化して工期とコストの両者を考慮した総合的な工程計画手法の開発を行うものである。その中で、本年度では、まず作業要素に関する3つのあいまい推定が、現場でいかに行なわれているかその実情について資料を収集し、その結果を踏まえながらこれらあいまい推定を含む場合の工程計画手法の開発を行った。この成果は現在英文論文として取りまとめているところであり、機会をえて公表の予定である。 次に、工程計画における工期問題とコスト問題の両者を総合化する手法について検討した。すなわち、従来の工程計画手法では、工期問題とコスト問題が個々に扱われ、PERTおよびCPM手法として提案されている。しかし、より本質的には、工期とコスト両者に関して調和した工程計画を立案すべきであり、そのための手法開発の第一段階として、作業日数のあいまい推定のもとで工期とコスト間の調整をメンバーシップ関数を介して図るという観点で理論展開をはかり、そうした内容の工程計画手法開発の可能性を見い出したところである。なお、本研究成果の一部は英語論文としてとりまとめ公表すると共に(九州大学紀要)、平成4年度・土木学会西部支部研究発表会にて発表予定である。 以上のように、本年度の研究は予定通り進行し、その上で次年度の研究の準備を進めているところである。
|