現行のバス許認可制度の枠内で見る限り、<福祉バス>に適合する形態は今のところ見当たらない。あえて二つを挙げるとすれば、第一が「乗合路線を新設する方法」であり、第二が「貸切バスで随時運行する方式」である。これら両者について、経営が黒字になるための最低運賃f(円/人)を求めると、下表に例示したとおり近似的に3つの要因に規定される。これら3つの要因のうち、路線長Lはバスが巡回すべき諸施設の配置で決まり、利用者数Pは高齢者などの居住地分布で決まる。したがって計画者側が自由に設定できるのは、運行回数Fだけに限られる。そして運行回数を増やそうとすれば、運賃を高く設定せねばならない。ちなみにL=10km、P=100人/日の場合を試算してみると、下表のようになる。福祉バスの運行形態としては、運賃面から言えば明らかに乗合バス方式のほうが有利(安上がり)であろう。しかし乗合バス方式でもなお、かなり高い運賃になる。運賃を安く設定した上で、赤字分を自治体などが補填できるかどうかが、今後の主要課題になると思われる。
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