わが国における福祉バスの導入は1980年頃から急増し、今では公共福祉施設の72%が保有している。高齢社会が目前に控えている現在、これは時宜を得た趨勢であろう。しかし福祉バスは、1運行につき数人しか乗車していないという、効率上の問題を抱えている。運行コストを賄えるだけの財源的基盤が弱い実状を考えると、福祉バスにも有料の乗合形態(=乗合福祉バス)を検討すべきであろうと思われる。 当面、乗合福祉バスには2つのタイプが考えられる。これら2タイプについて、公共補助なしで採算のとれる“採算運賃"を数式化すると表-1のようになる。大都市を想定して、路線長L(km)、運行回数F(便/日)、利用者数P(人/日)に具体的数値を代入すると、表-2のようになる。A型を採ればB型の1/3以下の運賃にすることができる。ただしA型の場合でもなお、運賃をかなり高く設定せねばならない。乗合福祉バスを福祉施策として位置づけるのなら、福祉行政分野からの何らかの支援(例:回数券配付)が必要であると思われる。
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