自動車通行に伴う、粉塵や排気ガス等の発生、移流、拡散現象に関する動的挙動を調査評価するための手法が検討された。本研究では、高時空間分解能を有し、一台のシステムで広領域観測が可能な、レーザリモートセンシングシステムを試作して用いた。試作システムは、YAGレーザ光を水平方向に掃引して、大気中に存在する浮遊粉塵からの後方散乱光を検出することにより、その挙動パターンの調査評価を可能にした。 浮遊粉塵と、特に自動車通行との関係を調査するための観測が行われた。水平方向掃引観測結果は、主要幹線道路である国道18号線と406号線とに囲まれた地域での、高密度分布パターンを示した。これらに隣接する住宅域への、高密度浮遊粉塵の流入が懸念された。鉛直方向観測結果も行われ、大気混合層の沈降に伴う、地表面付近における浮遊粉塵の高密度長時間帯留が確認された。日中における自動車通行に伴う多量の粉塵が、夜間に凝縮された形で発生する可能性のあることが示された。 さらに、これらの現象をより明確に可視化して表示するための、新解析手法が検討されプログラム化された。特に、浮遊粉塵と大気分子とを分離して解析することの可能な、Fernaldの方法が検討された。信頼性のあるFernaldの解を得るため条件として、観測のSN比が重要であり、その値が10以上であることが要求された。同解析プログラムの鉛直方向観測結果への適応を試み、夜間における高密度浮遊粉塵のみを独立に分離し、明確に可視化して表現することができた。 今後の研究計画として、異なる環境条件下での観測データの収集を行い、都市大気環境保全のための浮遊粉塵動画像情報(VTR化)データベースの確立を目指す。
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