研究概要 |
昨年度に引き続いて、海面埋立地として大阪市北港処分場そして、陸上埋立地として札幌市、千歳市と福岡市を調査対象として硫酸還元菌の分布調査を行うとともに、新たにメタン生成菌の分布調査を試みそして、2種のメタン生成菌を分離した。海面埋立地では0.4から11,000MPN/ml以上の硫酸還元菌が検出された。そして、陸上埋立地からは0.7から11,000MPN/ml以上の硫酸還元菌が検出された。今回の結果からも、硫酸還元菌は埋立地内に普遍的に存在することが示された。メタン生成菌は海面埋立地では、9.3から1,100MPN/ml以上が検出され、陸上埋立地からは1カ所を除いて、0.4から1,100MPN/mlが検出された。メタン生成菌は廃棄物埋立地内にほぼ普遍的に分布していたが、海面埋立、陸上埋立のいずれの場合も、ボーリング孔内水の試料中の出現数が、浸出水中から検出された数よりもはるかに多かった。 硫酸還元菌数とメタン生成菌数を比較すると、硫酸イオン濃度が20mg/l以上を含む試料では全ての場合でメタン生成菌数よりも硫酸還元数が高い値を示した。 メタン生成菌の単離には、様々な基質組成,温度及び塩分条件で嫌気性ロールチューブ法を用いて行ったが、いずれの場合も増殖が非常に遅く、しかも、継代培養によって死滅することが多く、結果的に2種類のメタン生成菌しか単離できなかった。その1つは、グラム陽性の球菌で、メタノール及び酢酸を基質とするMethanosarcina sp.でもう1つは、グラム陰性の単桿菌でギ酸を基質とし、酢酸を基質とせず、そして高熱性と考えられるMcthanomicrobium sp.であった。なお、これらのメタン生成菌と他の細菌の区別は落射蛍光顕微鏡を用いたF420の蛍光によって確認できたが、硫酸還元菌との判別は落射蛍光顕微鏡下では不可能であった。
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