都市廃棄物埋立て処分場の現場浸出水を用い、変異原物質の生成・分解過程および処理方法の基礎的検討を行なった。 1.曝気処理による変異原物質の生成と分解の実験的解明 (1)浸出水が処理施設で曝気を受けると変異原性が上昇する現象を見いだすとともに、これを実験室内で再現することに成功した。 (2)さらに、この実験系に種々の抗生物質や阻害剤を添加した実験、および生菌数、直接検鏡法による全菌数などの微生物学的因子ならびに温度、pHなどの物理化学因子の検討を行なった。その結果、(1)変異原活性の上昇は、細菌による好気的代謝に伴なって生じる前駆物質から変異原物質への変換によるものであること、(2)原因となる細菌は浸出水に広く分布し、菌数の上でも優先していること、(3)曝気時間を延長すると同細菌群により変異原物質は分解を受け始めること、などを見いだし、変異原物質の微生物的分解処理への基礎的知見を得た。 2.廃棄物自体の変異原性と潜在変異原性 浸出水中の前駆物質が、どのような廃棄物に由来するのかを探るため、前駆物質の存在を曝気により増加する活性(潜在変異原性)として検出した。焼却灰、汚泥、破砕ごみ等を溶出試験またはホモジナイズ処理にかけ、得られた溶出液の変異原性と潜在変異原性を測定した。その結果、これら廃棄物は変異原性は低いが潜在変異原性は高いこと、すなわち前駆物質が多いことを見いだした。
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