研究概要 |
都市廃棄物の埋立処分場における微量汚染物質の動態を解明し適切な環境保全対策を策定するための基礎的知見を得るために、浸出水および廃棄物の変異原活性の動態と原因物質の生成機構に関して、現場実態調査および室内実験により検討した。 (1)浸出水の変異原活性が浄化処理により逆に増加するのは、浸出水中に存在する細菌の好気的代謝によるものであることを室内実験によりつきとめ、廃棄物モデル槽を用いた詳細な検討結果も加え、変異原物質の微生物的生成、分解機構に対する仮説を構築した。 (2)新規エ-ムズ株(TA981,8-DNP_6、TG1021、TA98NR、など)を用い、それらが感応する科学種特異性にもとづいて、浸出水中の変異原物質の化学的性状の推定を試みた。明確な結論を得るにはさらに検討を要するが、新規株の応答から、浸出水中の変異原物質はニトロ化多環芳香族系物質である可能性は低いと推察された。 (3)浸出水の変異原性試験の簡便化のため、試料の前処理(濃縮)にSep-Pak CSP800システムを用い、従来法(溶媒抽出法など)と比較検討し、本システムにより大幅に前処理が簡易化することを明らかにした。 さらに、簡便なプレート法でエ-ムス試験を十分実施できることを見いだした。 (4)浸出水から変異原物質を除去処理するための吸着剤として、活性炭や土壌、焼却灰などを用い、その吸着特性、吸着容量、溶出条件などの実験室レベルでの検討から、焼却灰が優れた変異原物質の吸着能を持つことが判明し、重金属の溶出等を制御できるならば、安価で実用的な吸着剤として有望であることを見いだした。
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