本研究は、400〜1000Kg/cm^2の強度を有する超強度コンクリートを用いて造られた構造物中において示されるコンクリートの応力歪関係を明らかにするための基礎的資料を得ることを目的とし、扱う応力歪関係は、圧縮および引張の両方向において最大耐力以降の歪軟化域を含めた破壊点までの特性を対象としている。このため試験機剛性が実験結果に大きく影響を及ぼすために、予備試験を行ってコンクリート強度に対応する必要な最小剛性を求めると共に、現有のアクチュエータの制御方法をソフトの面から改良を行った。この種の実験では加力システムのうち、油圧源の油量吐出速度の能力限界から、一般にコンリートの歪軟化域を正確に追跡することは困難であり、これを解決するために制御プログラムの応答速度を高めたり、次の加力ステップの予測方法に新しい手法を開発するなどの各種の工夫を導入することが研究計画の第1段階であったが、このソフト改良に予想以上の時間を要した。このため、現時点では本年度予定していた実験変数の一部が修了している。すなわち、この応力歪関係に及ぼす影響要因として、気温・温度・形枠の密封度など現実の施工環境に対応した養生条件を第1要因として取り上げ、材料強度管理用に用いられる標準養生・現場水中養生などと対比して両者の相違を明らかにした。
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