本研究は、400〜1000kg/cm^2の強度を有する超強度コンクリートを用いて造られた構造物中において示されるコンクリートの応力歪関係を明らかにするための基礎的資料を得ることを目的とし、圧縮加力下において最大耐力以降の歪軟化域を含めた破壊点までの特性を対象としている。 この種の試験では試験機剛性と加力制御が実験結果に大きく影響を及ぼすために、初年度では試験システムの開発として、予備試験によって試験機必要剛性を定めると共に、アクチュエータ加力制御方法を採用しソフト上の改良を行った。即ち、油圧源の油量吐出速度の能力限界を解決するために制御プログラムの応答速度を高めたり、圧縮球座の回転拘束の要否の判断、初期微小変形量から破壊時大変形までの高精度計測法の開発を行った。 2年度は、上記の試験システムを用いて、主に直径100mm径×高さ200mmのシリンダー供試体を対象として、各種の影響要因について実験的に検討した。すなわち、(1)コンクリートの水中・封緘・気中の3種の養生条件については、水中養生した場合に最大耐力前の剛性が高く、且つ耐力後の剛性劣化が激しい。(2)封緘から気中養生に移行する材令を変化させた場合には、封緘期間が短いほど上記の性状が若干現れやすい。(3)普通および早強ポルトランドセメントの違いの応力歪関係に及ぼす影響は顕著でない。(4)コンクリートの圧縮強度が高くなるほど初期剛性が高く、最大耐力時の歪度が大きくなり、耐力後の剛性低下が著しく激しくなる。(5)単調増加加力に対する繰り返し加力の影響は、本法の加力範囲では余り明瞭でない。(6)既往の4種の応力歪曲線推定式の中で、水中養生に関しては白井式が対応がよく、耐力劣化後の収束歪および収束応力も近似しているが、その他の養生条件には対応しない。以上の他、今後の課題として、曲げ材等の偏心応力分布における応力歪性状との対応を解明する必要性を指摘した。
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