強度の降雨状態を再現しうる降雨負荷装置(降雨量2mm/分、雨滴径約3mm 雨滴速度600mm/秒)を設計・試作した。実験には、草葺材料の代替としてガラス棒、ステンレス棒を用いたモデル屋根の降雨負荷実験を行った。さらにこれに風を作用させた実験も行った。得られた新たな知見は以下のとおりである。 (1)従来から積層する棒の間隔は狭すぎても広すぎても良くなく、防雨性能を最大とする特定間隔領域の存在を指摘していたが、今回さらに勾配に関しても同様なあらたな事象を見いだした。すなわち従来、勾配が急になるほど防雨性能は単純に向上すると考えられていたが、必ずしもそうではなく、条件によって特定勾配領域に最大値のあることを指摘した。 (2)これらの理由を棒間の雨水の流れとの関係で調べ、水流には特徴的な二種の形態があることを見いだした。すなわち棒間から切れて下方に落下しやすい「断続的で不安定な流れ」となかなか下方には落下しにくい「連続した安定した流れ」である。これはこの種の屋根の防雨性能を左右する重要な現象であることが判明した。すなわち防雨性能を向上させるためには後者の水流を作ることが大切であり、これが棒間隔、勾配に強く依存するとの知見を得た。さらにこのことが特定領域に防雨性能に極値をもたせる原因であると推定された。 (3)風の影響については、一般に棒間の水流が切れやすくなるため防雨性能は低下すると考えられていたが、必ずしもそうではなく構成条件によっては、逆に向上する場合のあることも見いだした。この原因についても水流の安定性が関与してると推定されるが現段階ではまだ充分検討はしていない。
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