ガラス棒およびステンレス棒間隙部における雨水の挙動を調べた各種実験結果を基に、そのモデル化を行いシミュレーションにより防雨機構の説明を試みた。その概要は以下のとおりである。 (1)棒間隙部における雨水の挙動は、屋根長さ方向への挙動と屋根内部方向への挙動とにわけて説明しうることを明らかにした。 (2)屋根長さ方向への雨水の挙動については昨年度、特徴的な二種の形態があることを見いだしているが、ガラス棒については間隙水長さが50mm、ステンレス棒の場合は12.5mmを境として、それより長い場合は「連続した安定した流れ」、短い場合は「断続した不安定な流れ」としてモデル化しうることを示した。 (3)屋根内部方向への雨水の挙動については、棒間に保ち得る水量を測定したが、保水量は特定領域で極値をもつことを明らかにした。従来から、積層する棒の間隙は狭すぎても広すぎても良くなく、防雨性能を最大とする特定間隙領域の存在を指摘していたが、これがその理由であると推定された。また下層への滴下は不規則な現象であるが、乱数を用いての確率的表現によりモデル化が可能であることを示した。 (4)以上の知見をもとに間隙水挙動の2次元モデルを提案した。ガラス棒とステンレス棒について間隙幅、勾配、積層数を変数とするシミュレーションを行い、実験値結果と比較し、ここで提示したモデルが有効であることを示した。これにより棒状材料を積層した勾配屋根の防雨機構の明かにすると共に性能評価を可能にし、実用面への展開を可能にした。
|