研究課題/領域番号 |
04650517
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
建築構造・材料
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研究機関 | 大阪工業大学 (1993-1994) 京都大学 (1992) |
研究代表者 |
甲津 功夫 大阪工業大学, 工学部, 教授 (50026291)
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研究分担者 |
吹田 啓一郎 京都大学, 工学部, 助手 (70206374)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | ステンレス鋼 / 歪速度 / 接合部 / 高速載荷 / 振動台実験 / 復元力特性 |
研究概要 |
ステンレス鋼架構が地震力を受ける場合を想定して、素材および高力ボルト接合部の高速載荷実験とステンレス梁降伏型模型架構を用いた振動台実験を行い、部材や接合部の歪速度効果や架構としての復元力特性および減衰特性について調べた。得られた成果を要約すると、高速載荷実験については以下の通りである。 1)素材の単調引張下では、歪速度の増加に伴い降伏点は軟鋼と同様に増加傾向を示す。しかし、強度の高いSUS304N2の方が増加傾向が強い点、引張強度は1%/sec程度の歪速度で極小値を示す点、が軟鋼と異なる。また、伸びや絞りの変形量は高速であるほど低下する。 2)歪速度効果を考慮した無次元化bi-linear型履歴モデルにより、素材の繰返し載荷による履歴曲線の定量的な表現を得た。速度増加に伴い塑性域での剛性が増加する傾向が見られるが軟鋼と同程度の増加であり、歪速度による影響は小さい。 3)高力ボルト摩擦接合部のすべり耐力は、載荷速度の上昇に伴って増加し、軟鋼(赤錆摩擦面)の場合と逆の傾向を示す。完全弾塑性型履歴モデルにより載荷速度の影響を考慮した繰返し履歴曲線の定量的な表現を得た。繰返しに伴うすべり耐力の低下は高速であるほど少なく、これも軟鋼の場合と逆の傾向を示した。 また、振動実験で得られた成果について要約すると、以下の通りとなる。 4)架構がほぼ弾性挙動を示す小変位領域における水平剛性は、ステンレス鋼管梁部材の圧縮実験結果から得られる初期弾性係数と0.1%オフセット耐力時の割線係数との平均値を用いることにより、比較的良好に予測できる。 5)架構が強度の非線形性を呈する領域の応答特性は、鋼管の短柱圧縮試験から得られた0.1%オフセット耐力を降伏応力度として求めた架構の降伏水平力と、4)の手法で得た初期剛性を用いて計算される降伏水平変位を無次元化の基準量として、復元力一応答変位スケルトン曲線を整理すれば、SS400級鋼の応答特性とほぼ等しくなる。
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