1.実験 コンピューター-アクチュエーターオンライン実験システムを使用して、鉄筋コンクリート構造物のオンライン地震応答載荷実験を行った。供試体として、1層1スパンの鉄筋コンクリート構造物模型(実物の約1/4の大きさ)を用いた。建物の最外縁または隅の柱を想定して、柱には最大耐力の1/3の軸圧をかけた。入力外乱として、Taft 1952 NSと Sendai TH030 1978 NSの加速度記録の時間軸を1/2にすることによって卓越周期を短くした波を用いた。オンライン実験の結果、次のことが明らかになった。 (1)柱軸圧を最大耐力の1/6から1/3に増加したことにより、水平方向変位の1方向へのドリフトが生じにくくなり、また崩壊時の損傷率が減少した。 (2)卓越周期の短い地震波を用いたが、定性的にも定量的にも構造物の応答にはあまり影響がなかった。 2.解析 今までに行った17体の供試体のオンライン実験結果を統計的に見直した。提案した累積損傷評価式の信頼性を高めるため、信頼性を低くしている終局変位のバラツキの大きな要因であるコンクリート強度の累積損傷評価式への導入を試みたが十分な成果を得られなかった。その原因として、復元力特性の負勾配において生じてい供試体の終局変位の大きさが、大きい柱軸圧をかけているために不安定になっていることが考えられる。また、17供試体のデータでは統計的な取扱いに十分でないことも考えられるので、来年度には本年度の分も加えて信頼性を高める。
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