研究課題/領域番号 |
04650527
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
崎野 健治 九州大学, 工学部, 教授 (70037985)
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研究分担者 |
蜷川 利彦 九州大学, 工学部, 助手 (90237769)
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キーワード | コンクリート充填角形鋼管柱 / 耐震性能改善法 / 円形鋼管埋設補強 / 材軸方向縮み / 耐力劣化 / 高軸力 / 鋼管コンクリート / 超高層建築 |
研究概要 |
平成4年度に引き続き、円形鋼管を埋設し補強したコンクリート充填角形鋼管柱の、一定軸力下における繰り返しせん断実験を行った。鋼管のせいは20cm、板厚は6mmと9mmの2種類とした。柱の内法高さは100cmで、円形鋼管(径165.2mm 板厚5mm)による補強方法は、柱内法全部の補強とした。また、比較のために補強なしの従来通りの柱についても実験を行った。試験体は計6体である。実験では軸力の大きさを実験変数とし、各柱の靱性、材軸方向縮み量等の弾塑性性状を調べた。引き続いて、平成4年および平成5年度に行った全試験体(計18)の実験結果のとりまとめ、考察を行った。考察では補強の有無・軸力比・角形鋼管板厚の、耐力・靱性・材軸方向縮み量・履歴性状等に関する影響について検討した。その結果、円形鋼管埋設補強を施することにより、耐力低下が小さくなり、材軸方向縮み量も抑制が可能で、耐震性能を良く改善することが明らかとなった。特に大変形時や、高軸力下での補強効果が顕著である。補強方法としては、柱内法部補強の性状が最もよい結果となり、端部補強の高軸力下における補強効果は小さいことが分かった。また、角形鋼管の板厚を厚くするよりも、円形鋼管を埋設し補強する方が、材軸方向縮み量がよく抑制された。円形鋼管埋設補強を施すことにより、靱性に富み、より健全なコンクリート充填鋼管構造をつくることができると考えられる。また、耐震設計の手法としても幅が広がるものと思われる。しかし、材軸方向縮み量については、いろいろな問題を含んでいるにも関わらず、現在の設計においてはあまり注意されいないのが現状で、今後、軸縮み量の許容値の設定等が必要になると考えられる。
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