本研究の大きな目的の1つは金属製サイロの構造特性係数と線形時周期との依存関係を把握することである。そのためにはまず模型サイロによる繰返し加力実験を行い、その復元力特性を得る必要がある。得られた力ー変位関係からそのループ面積、骨曲線を変位振幅で関数化する。これをもとにサイロの振動特性を反映するべき関数型復元力モデルを設定する(ここまで平成4年度の計画)。設定された復元力モデルに対して非線形時周期、等価減衰等の振動特性を変位振幅の関数として求める。また、種々の実地震波に対する応答解析をもとに構造特性係数を算出する(平成5年度の計画)。上記の計画に対して、科研費の2次分としての交付(平成 4年10月13日)が決定したため半年の計画のずれが生じている。本年度は2体の模型に対して実験を実施し、ループ面積、骨曲線を関数化すべくデータを整理中である。実験に用いた試験体は黄銅製サイロ模型(直径375mm、高さ980mm)である。試験体の下部を固定し、上部リブの上側に鉛直な軸力となる錘を載荷し、水平荷重は周辺に一切接触しないように上部リブと同じレベルでロードセルを経由して油圧ジャッキにより水平に加力して、力ー変位関係を示す履歴曲線を得た。現在、このループ面積をプラニメータを用いて計測し、関数化の準備をしている段階である。 また、模型の精度をあげるために黄銅製を用いているが、ある程度の歪はしかたない。しかし、サイロ模型の初期不正(横断面の円形の程度)あるいは溶接部の不揃いなどが復元力特性にどのくらいの影響を与えるかを知る必要があり、数理モデルを用いて検討している。
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