初年度は、空調システム設計に関する知識の獲得として、学会誌や専門誌などを対象とした文献より抽出し、一部はPC上にデータベース化し、知識データの類型化によるプロダクションルール、フレームおよびオブジェクト指向に基づく知識ベース構造のプロトタイプを作成した。また、既存の手続き言語型のシミュレーションプログラムとのリンクを行い、負荷計算や性能計算などの種々のシミュレーションをオブジェクトとして利用可能な知識ベースシステムの構成をPC上で試作検討した。その結果、フレーム中のデ-モンによってCやFORTRANなどで記述された外部プログラム呼出が可能であることなどが分かった。一方、PCで開発したエキスパートシェルのワークステーションへ(EWS)の移植を行い、システムの正常な動作を確認した。次年度は、知識ベースとして構築された空調システム設計に関するルールの検証のために、研究者および専門技術者による多くの推論の試行を通して知識の修正あるいは追加を行い、知識ベースの編集と追加を行った。さらに、if-thenルールやフレーム知識表現以外の表現方法の可能性を探った。EWS用知識ベースシステムの周辺技術の充実のために、重要なモジュールの一つであるユーザーインターフェースの設計とそのプロトタイプの開発をOpen Windows上で開発した。また、今回開発した知識ベースシステムの推論機構や知識表現などの基本的概念の応用として、住宅における結露被害診断のための知識ベースシステムをC++によりMS-WINDOWS上で開発して、正常に作動することを確認した。
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