研究概要 |
本研究の目的は,植栽の日射遮蔽効果を従来のように実際の測定で調べるのではなく,植栽内の放射輸送モデルを数値的に解くことにより,植栽の日射遮蔽効果を調べることができることを明らかにすることである。従来までは,植栽の日射遮蔽効果を知るには測定でのみ可能であったが,本研究において始めて植栽の日射遮蔽効果が数値解析的に予測できることを示した。数値解析的に植栽の日射遮蔽効果を予測するには,第一に植栽内の放射輸送モデルが信頼性の高いものでなければならない。本研究では,植栽内の放射輸送モデルとして最も優れたモデルと考えられる,Rossの植物群落内放射輸送モデルを取り上げ,このモデルの持つ問題点を考察する。次に,Rossのモデルを測定データとの比較によりRossのモデルの信頼性について検討し,このモデルが実用上十分使用しうることを示した。また,Rossの植物群落内放射輸送方程式の近似解法について考察し,樹木のような3次元放射場でも数値的に予測ができるようにした。最後に,壁体外部に植栽を配置することにより,壁体に入射する日射量がどの程度緩和されるかをRossのモデルを数値解析することにより調べ,植栽の日射遮蔽効果について数値解析的な検討を行った。従来のように実際の測定で植栽の日射遮蔽効果を調べる必要はなく,植栽の放射伝達方程式を数値的に解くことにより,植栽の日射遮蔽効果を予測できることを明らかにした。
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