研究概要 |
本研究は人体の熱収支式を用いて,空調空間の最適温湿度条件を決定する手法を開発することを目的としているが,この場合各種作業時の代謝熱量の資料が不充分であるため,直接的には各種作業時の代謝熱量の予測方法を確立することを目的としている。 作業としては事務作業,生産施設の作業およびスポーツを選んだ。 事務作業としては大学の教務事務,建設会社の事務およびスポーツ施設の事務を選び,ビデオ記録をおこなった。これをもとに動作分類をおこない,36動作を抽出した。このうち22動作を用いて動作開始時の代謝熱量の変化,動作継続時の代謝熱量および動作終了後の代謝熱量の変化を測定し,動作開始時および終了後の代謝熱量の変化の実験式を求めた。動作継続時の代謝熱量については表にまとめることとした。これらの資料を用いて事務作業時の代謝熱量を予測したところ,良好な結果を得ている。 生産施設としては乳製品製造業と肉製品製造業とを選び,作業記録をおこなった。これをもとに動作分類をおこなったところ,9動作を抽出することができた。このうち5動作10パターンを用いて代謝熱量の測定をおこない,事務作業に対する解析手法を用いて検討したところ,同一の手法によって整理することが可能との見通しを得ている。 スポーツとしては各種の動作が含まれ,かつ屋内で行なわれるものとしてエアロビクスを選び,ビデオ記録から動作分類をおこなった。その結果,24種類の動作が組み合わされていることが判明した。予備実験として,一部の動作の代謝熱量の測定をおこなったが,今後さらに各動作の代謝熱量の測定を継続する予定である。
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