空調空間の最適温湿度条件を決定するための基礎資料として、各種作業時の代謝熱量の予測方法を確立することを目的として、前年度は作業現場でのビデオ記録をもとに、動作分類を行い、代謝熱量を測定するとともに代謝熱量の変化について予測方法を検討した。しかし、十分満足の行く予測方法ではなかったので、今年度は動作の代謝熱量が最大値に到達する前に次の動作に移る場合を対象として、動作終了後の代謝熱量の代謝熱量の変化の予測方法を事務作業に現れる動作を用いて検討した。その結果、個人差の範囲でほぼ満足できる予測方法を得ることができた。 生産施設の作業に含まれる動作については動作数が多いため、既往の研究による資料の取り込みを考え、当研究室における測定値と既往の研究の資料との比較を行い、両者がほぼ同じ値であることを確認した。さらに、動作開始ごと動作終了後の代謝熱量の変化は事務作業動作を用いて求めた予測方法が適用できることを確認した。従って、事務作業の代謝熱量の予測方法は生産施設作業にも拡張できる。 スポーツ時の代謝熱量については、新たに卓球競技者のビデオ撮影を行い、動作分析を行うとともに、競技者と非競技者を被験者として代謝熱量の測定を行った。その結果、同一動作でも競技者と非競技者では代謝熱量値に差のあることを確認すると共に、文献においても確認した。動作開始ごと停止後の代謝熱量の変化は事務作業に於いて求めた予測式が適用可能であることを確認した。 以上の代謝熱量に関する資料と予測方法をまとめて、各種作業に対して動作観察を行えば、代謝熱量の時間変化が予測できるシステムを組み上げることができたので当初の目的を達成することができたと考える。
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