白川郷の合掌造民家の活用の方策を探るために、合掌造民家の改造モデル案を3案作成した。第1案は外観を保存し、内部空間と設備を改造するもの。第2案は内部のみならず外観も改造するもの。第3案は合掌造民家に新たに増築する部分を加え改造案とするもの。 以上3案について図面と模型を作成し、地域住民と行政側に説明し、ヒアリングを行った。そこで論議された問題点を整理し、それぞれの案について評価を加えた。その結果をそれぞれの案に反映させた合掌造改造のモデル案を3案提案し、それぞれについての特徴や実現するにあたっての問題点を整理分析した。 以上のような作業を通じて明らかになったことは以下のようにまとめられる。 1.合掌造民家の居住者は世代交替の時期を迎えており、その活用の方向については世代間にギャップがある。従来の伝統的建造物群保存地区の制度での合掌造民家の保全には限界があり、新たに住民の合意形成が求められている。 2.主たる生計を観光に依存している現状では博物館的活用の方向に傾くが、合掌造民家を現代生活の器として再評価する視点も重要である。
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