保管場所としての駐車場(以下保管駐車場)の供給実態について個々の敷地単位に把握したデータはほとんど存在しないことから東京都心の既成市街地3地区(港区青山、白金、新宿区坂町)で現況路査を行い、敷地毎に敷地条件、駐車場の有無、ある場合は台数や保管形態等のデータを収集し分析することから以下の結果を得た。 ・建物内の保管駐車場では、建物の用途により駐車場の供給水準が異なり、非木造の集合住宅での設置水準が戸建てよりも低いこと、また用途に関わらず小規模な敷地ほど設置率が低いことを示した。 ・敷地内に余裕のない敷地では駐車場が設置されることで敷地内の緑地水準の低下を招くことを示した。 ・以上2点から、集合住宅化と敷地の小規模化が進むと自敷地内での自動車保有率が低下し、かつ敷地内の緑被の貧困化を招くことが予想され現状を放置すると都心市街地では建物付属の保管駐車場の供給の促進も敷地内の緑被環境も充実が容易でないことが推則された。 ・これらより地区固有の条件を考慮した上で、敷地条件面での改善が見込めない地区に対する独立駐車場の設置の整備促進策の必要性を示した。 今後の展開として、独立駐車場の整備状況の実態把握もあまり行われておらず、駐車場の発生、消滅のメカニズムも感覚的にしか理解されてないことから、独立駐車場を対象とした広域かつ継続的な詳細調査が必要と考えられる。
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