1 本研究はわが国の都市居住の実態、特に大都市既成市街地における「ガワ」と「アン」の構造に着目して、わが国独自の都市居住形式を形成する可能性のある、(1)街並形成型都市居住形式、(2)タウンハウス型都市居住形式についてそれぞれ異なるアプローチで検討を試みた。 2 街並形成型都市居住形式は、大都市既成市街地の「ガワ」と「アン」構造のうち「ガワ」とよばれる市街地における都市居住形式である。「ガワ」は大都市既成市街地の高度利用に適した幹線道路沿道の土地利用をいう。幹線道路沿道の土地利用実態を立体土地利用実態として調査を行った。その結果、中高層専用住宅と中高層併用住宅を区分し、さらに階数別に非住宅用途の混入状況を観察すると、一般的傾向として、1、2階で高い混入率を示した後、次第に混入率が低下し、最上階ないし最上階近くで再び高い混入率を示すことが分かった。それを受けて立体土地利用実態を基礎に、これからの街並形成型都市居住形式を担保していく方策について検討した。 3 タウンハウス型都市居住形式は「アン」の市街地である。「アン」は基盤整備が充分でない密集住宅市街地である。そこを対象としたゲ-ミング・シュミレーション手法により、地権者参加型の協調建て替えの可能性とその効果などについて理論的、モデル的検討を行った。 その結果、協調建て替えの効果としては、(1)建て替え困難地区の解消、(2)有効なオープンスペースの確保による相隣環境の確保、(3)地権者間の内部ルールの発生等を挙げることが出来た。一方、協調建て替えの限界と問題点としては、(1)規制緩和のための協調化が図られる、(2)4〜6軒程度の単位の断片的な協調化が図られ、単位の外部との調整が取れない、(3)協調化の中からは全体性は生まれない。ということが判明した。
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