1.昭和43年〜平成2年の期間に福岡市において供給された民間分譲マンション(1600棟)について資料収集を行い、立地属性(立地場所・用途地域・敷地面積・建蔽率・容積率)、建物属性(構造・階数・延床面積・住戸数・住戸タイプ・住戸専有面積)、経済属性(分譲価格・完売期間)に関するデータベースを構築した。また昭和59年〜平成2年供給分については、地価データも作成した。 2.立地属性及び建物属性を指標とした因子分析を行い、次いで4軸までの因子負荷量を用いたクラスター分析により、マンションを10タイプに類型化した。この類型と用途地域・供給時期との関係を検討した結果、小規模開発ワンルーム型と郊外立地の標準世帯向け3LDK型が昭和60年以降急増しているが、一方商業地域での高密度開発3LDK型と市街地周辺での3DK型が昭和60年を境に大幅に減少している現象を明確に捉えることができた。 3.利潤推計モデルを構築し、昭和59年〜平成2年に供給された物件を対象に分譲価格構成(土地費率・建築費率・利潤率)を算定し、その経年変動分析を行った結果、小規模開発ワンルーム型では地価高騰の影響により都心部の利潤率が低下し、逆に住居地域の利潤率のほうが高くなり立地の郊外化の要因となった事、同様に標準世帯向け3LDK型も住居系地域の利潤率のほうが高く、商業系地域での供給減少をもたらした事を検証した。 4.この利潤率を規定する主要因は地価と供給住戸タイプであり、特に昭和63年以降は地価の影響が強まり、逆に都市計画上重要な役割を果たす用途地域との相関が弱まっている事を明らかにした。 今後の課題として、地価データベースを拡充した上で類型毎に時系列変動要因を明らかにする事が必要である。
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