本研究のための調査として、平成4年度は農村地域を対象に、大分県の代表的な畑作地域である三重町を選定し、農業経営が比較的小規模で兼業農家率の高い「深田地区」と比較的大規模で専業農家率が高い「入北地区」において調査した。 まず、農村においても、高令者にとって住宅におけるくつろげる居場所としての拠点が、意識的にも物理的にも(生活時間のなかで高比率でくつろぐ行為が展開される場所)存在することが確認できた。 農村では、かなりの高令期まで農作業に従事するため、住宅における拠点性は弱くなる。とくに趣味の展開などによる積極的な拠点が少ない。また、拠点は主として居間にとられ、別居の場合と同居の場合とでは、拠点の性格がやや異なり、後者では、高令者の拠点が子世帯の影響を受ける傾向がみられる。さらに、子世帯の影響は、同居の場合、兼業農家で経営規模が小さくなると、より大きくなる。これに対し、経営規模が大きい場合、兼業・専業を含め、高令者の役割が大きく、継承した農地の関係から、子世帯の影響は軽減される傾向にある。(詳細については現在考察中である。) また、平成5年度に本調査を予定している都市部についての予備調査を行った。
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