本年度は、昨年度の農村部の調査に対し、都市部として大分市で高齢者率の高い校区を選定し、50戸を目標に調査し、それについて集計し考察した。考察は、農村部と都市部について別々に行い、さらに両者について比較考察した。 農村部と、都市部に分けて考察した結果は、以下の通りである。 〔農村部〕高齢者の住宅における拠点数は1室拠点が中心で、拠点は居間に形成されている比率が高く、かつその場合は他室に比べ拠点性が高い。(滞在時間が長く拠点的行為が多いほど拠点性が高い。)さらに公室拠点(居間・食事室)と私室拠点(寝室・趣味室)とにわけると、前者の比率が高く、後者は少なく、とくに別居にはみられない。拠点型としては〔公〕室型が中心で、この場合には公的性格の行為と私的性格の行為との混在化が強くみられる。以上の結果は、住宅内の生活スタイルとして、在宅時間が短く、(生き甲斐につながる)積極的行為の展開が見られない高齢者が多いためで、その主要因は、農業従事者が多く、農作業の時間が長く、そこに生き甲斐を見出しているからと考えられる。 〔都市部〕拠点数としては1室拠点と2室拠点が同程度みられ、拠点は居間の他に寝室に形成される比率が増え、趣味室についてもみられる。さらに拠点型としては〔公〕室型と〔公+私〕室型が中心で、前者では公的性格と私的性格の行為の混在がみられるが、後者では両方の拠点が公的性格と私的性格に整理されていく状況がうかがわれる。また〔公〕室型から〔公室+私室〕型へ移行し将来は増加する方向にあるといえる。以上の結果は、生活スタイルとして、在宅時間が長く、積極的行為を展開している高齢者が比較的多く、住宅内で生き甲斐につながる取り組みがなされることによるものと考えられる。
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