1.明治前期の建設業者については、北海道立文書館所蔵の開拓使関連簿書のうち、建築仕様書を含む一件書類21件から、建設関連業者104名について、職種、生・没年、住所、出身地、請負建物・所在地、関係者、資料名・経歴の項目を、データとしてまとめることができた。 2.明治中期以降の建設業者を探る方法として採用した戦前期主要紙からの建築関連記事の収集は、作業に膨大な時間がかかってしまった。北海道毎日新聞(明治20〜30年)、函館新聞・函館毎日新聞(明治20年〜大正3年)、小樽新聞(明治37〜昭和2年)、北海タイムス(明治34〜昭和10年)、十勝新聞(昭和8年〜13年)、十勝毎日新聞(昭和8年〜12年)の6紙を対象に、建設業者および施工作品を収集し、新聞ごとに建設関連年表を作成した。 3.明治中期以降の建設業者に関しては、新聞調査から請負業者256名が得られ、うち戦前期に刊行された紳士録、人名録、人名辞書など14文献および他文献からデータを捕捉できる業者59名について、生・没年、職種、大工経験、来道年、生家家業、創業までの足どり、創業年、創業地、住所、公職、請負建物、所在地、関係者、縁籍、資料名、経歴の項目で、データとしてまとめることができた。 4.明治中期以降の建設業者59名については、生没年を年表化し、さらに出身地の判明した45名分について県別にまとめた。上位から新潟県(12名)、石川県(7名)、福井県(4名)、青森県(3名)、富山県(3名)となっている。 収集した建設業者は、上述のように一応データベース化したが、明治前期と後期以降で収集情報量が異なり、データ項目を揃えることが難しかったので、本研究では2種類のデータとしてまとめている。それぞれの個人情報の収集、業者の追加方法、さらに各個人に関する詳細調査などは、今後の研究課題として残された。
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