「平成4年度交付申請書」に記したように、久高島年中行事調査と首里王城祭祀の文献、図絵調査とを同時並行して進めるよう、当初研究計画を変更した。 1 久高島年中祭祀については、「交付申請書」の計画通り3回の調査(旧暦8、11、1月行事)を行った。また、島の祭祀についての広範な既往研究を調査した。それにより、従来の論者が触れることの少なかった祭場鋪設について、国家祭祀との関わりの点で重要な知見を得たが、さらに他の大きな年中祭祀である旧暦3、4、6、7月行事について、祭場の様態を参与観察する必要が生じた。これらの調査を平成5年度と6年度に行う予定である。 本研究計画全体の序論として、琉球王国国家祭祀において久高島が果たした聖なる島としての空間的な意味について考察する論文をまとめた。申請者所属機関の研究紀要『人間・環境学』第2号(1993.3.)に発表の予定。また、祭場についての中間報告を1993年4月の民族芸術学会で行う予定。 2 首里城年中祭祀関係の史料・文献・図絵の調査は、上記久高島調査時に、主に那覇で行った。所蔵場所が広範なため、なお調査・閲覧の段階にある。 1)首里城正殿復元考証グループの方々のご好意により、関係資料の所在について貴重な情報を得た。そのうち、沖縄県立芸術大学所蔵の「鎌倉芳太郎資料」の閲覧を始めているが、さらに平成5年度と6年度に続行する予定。 2)沖縄県立博物館、県立図書館、琉球大学附属図書館などの所蔵の王城祭祀史料・文献調査にも着手しており、平成5年度と6年度に続行の予定。 3)平成5年度後半より、収集した史料・絵図などの分析に取り掛かり、平成6年度に補足調査を行う予定。 全般的に言って、王城の祭場の研究のために久高島の年中祭祀を媒介にすることの妥当なことが確認されたのは、大きな成果である。
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