「平成5年度交付申請書」に記した「本年度の研究実施計画」の項目順に報告する。 1)沖縄県立芸術大学所蔵の「鎌倉芳太郎資料」の調査は、ほぼ完了した。現在、当該資料の分析研究に取り掛かっている。しかし、本研究にとって重要な写真資料の閲覧については、原版未整理につき着手できていない。平成6年度に芸術大学関係者と閲覧交渉を行う予定である。また、他機関所蔵の絵図類のうち、研究報告書・論文等に添付の必要のあるものについて、その複写を6年度に行う予定。 2)久高島年中祭祀調査:「交付申請書」に計画した3回の調査(旧暦4、9、10月行事)の内、4、10月分は、本務と重なり中止した。代わりに旧正月と2月行事の調査を行った。平成6年度に、4、6、10月行事について参与観察する予定。 3)祭祀の簡略化が進む久高島の年中祭祀の現状に鑑み、過去に撮影された祭祀の映像記録を調査の対象に加えた。東京出張を2回行い、国学院大学折口記念古代研究所とヴィジュアル・フォークロア社で、写真資料(前者)、16ミリ及びヴィデオ資料(後者)の閲覧を始めた。 4)収集済みの図絵・写真資料の電算機入力を行うため、フィルム・スキャナーを導入した。 5)研究成果: 発表:1)「沖縄久高島の年中祭祀の祭場」(民族芸術学会大会、1993.4.、福岡)、2)「琉球王国祭祀儀礼の空間:聞得大君御新下り儀礼と地方年中祭祀儀礼に見る儀礼原則」(国際日本文化研究センター「日本文化の深層と沖縄」研究班、1994.1.) 論文:「聖なる島への国家的視覚の生成-琉球王国御新下り儀礼に見る久高島の意味」京都大学人間・環境学研究科紀要『人間・環境学』巻2、1993.11.、.23-55.
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