研究課題/領域番号 |
04650596
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
富取 正彦 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助手 (10188790)
|
研究分担者 |
高柳 邦夫 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (80016162)
|
キーワード | シリコン / ゲルマニウム / ヘテロ構造 / 走査型トンネル顕微鏡 / 走査型トンネル分光法 |
研究概要 |
新しいタイプの発光素子や高速トランジスターを実現するために、SiとGeから構成されたヘテロ構造を持つ材料が注目されている。長年にわたって培われたSi技術を基にしてヘテロ構造を導入すれば、様々な機能を持った高集積デバイスを発展させることができ、産業界に与えるインパクトも大きい。しかし、SiとGeの格子定数には4.2%の不整合がある。このため、Si-Geヘテロ構造は歪を内包して成長様式も複雑になり、デバイスに要求される急峻な界面を形成することが難しい。本研究では、表面原子配列や電子状態を調べることができるSTM/STSを用いて、Si-Ge系ヘテロ構造の成長過程を原子的スケールで明らかにすることを目的としている。 本年度は、Si(001)面上のGeの成長様式を原子的スケールで調べるために、成長中の基板温度を300、400、500℃に設定し、Geの蒸着量を変えてSTM観察をおこなった。その結果、蒸着されたGeは、3-4MLまではダイマー欠損列をともなった2次元層状成長を示し、さらに蒸着量を増加させると、3次元島状成長を示す様子が原子的高分解能で描きだされた。この3次元成長した島の形状は、{015}、{113}、(001)面などをファセットとした小屋状、ピラミッド状、あるいは、ドーム状のクラスターであり、成長温度や蒸着量によって成長の様子が変化していくことが明らかになった。例えば、4つの{015}ファセットを持つ小屋状クラスターで表面全面が覆い尽くされたのちに、基板温度300℃の成長ではクラスター同士の融合が始まるが、400℃のときは4つの{113}ファセットを持つクラスターの成長へと変わり、500℃のときは急な斜面を持つ対称性の良いドーム状のクラスターが成長する。また、小屋状クラスターのファセットと同じ面指数のSi(015)開を基板としてGeを成長させ、10MLまでの蒸着量で欠陥の極めて少ない2次元層状成長を確認した。現在、STSによる表面電子状態の解析にも力を注いでいる。
|