研究概要 |
高真空電子ビーム浮遊帯域溶融法(EBFZMと略す)を用い、希土類金属のネオジム(Nd)、ランタン(La)の高純度化を図った。Ndの場合、若干の酸素、窒素の減少は可能であったが、顕著な低減は困難であった。これに対し、炭素はゾーン偏析により終端側で半減し、炭素の低減に有用なことが確認された。また高蒸気圧のCa,Mgは迅速に蒸発除去され容易に5ppm以下に減じられた。一方、蒸気圧が低いFe,Cu等の蒸発除去は困難であったが、ゾーン偏析により始端側での低減が確認され、低移動速度・多重回パスにより低濃度まで低減可能なことが明らかにされた。次にLaの場合、酸素、窒素の減少は困難であったが、炭素、硫黄は偏析により始端側で低減可能なことが判った。金属不純物に関しては、Ca等の蒸発除去が可能であり、また偏析による始端側でSi低減が認められた。以上の各不純物の低減化に伴い、EBFZM後のNd,Laの残留抵抗比はともに約2倍ほど向上し、EBFZMが希土類金属の高純度化に有用なことが確認された。 次に、新規な改良型EBFZM法として、極低圧水素雰囲気中(水素分圧10^<-2>〜10^<-5>Pa)でのEBFZM、および試料ロッドに電流密度500〜1000A/cm^2程度の範囲内で直流を流しエレクトロマイグレーション効果を重畳したEBFZMを実施し、Nd,Laからの酸素、窒素等非金属不純物および蒸気圧の低い金属不純物の一層の低減化を検討した。極低圧水素雰囲気中EBFZMでは酸素、窒素の低減傾向が認められたが、水素分圧を増すに従い電子ビームが不安定となる問題点が明かとなった。エレクトロマイグレーションEBFZMでは、試料電流ノイズにより安定した電子ビーム発生が困難となることが確認されたが、今後両者のマッチングを図ることで、同法は希土類金属の高純度化に有効と期待される。
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