研究概要 |
NiO,CoO,Cu_2Oの酸化物粉末とTi粉末の置換反応による複合材料の製造をまず検討した。NiOまたはCoOとTiの反応では,それらの混合物を2t/cm^2の圧力で成形後,1000℃,25時間の反応で,微細に複合化したNiまたはCoとTiO_2のサーメットを作製することができた。用いた反応前のTi試料は50〜100μmの粒径であったが,反応の進行に伴って微細化し,数μmのオーダーで金属と酸化物が網目状に入り混じった組織が得られた。反応は5時間程度でほぼ終了し,粉末の粒径が小さいものほど緻密な焼結体が得られた。Cu_2OとTiの反応では,圧粉後,非常に遅く昇温しない限り,600〜800℃でテルミット反応を起こし,融解した。テルミット反応を防止するためには,反応面積を減少させるのが有効であると考えられるので,反応に関与しない物質として粒径0.1μmの粉末を添加して試料を作製し反応させた。2wt.%以上添加するとテルミット反応を防止することができた。ZrO_2の添加量は少ないほど焼結性がよく,30wt.%以上添加すると緻密なものは得られなかった。得られた組織はCuとTiO_2が3次元的に微細に入り混じった組織をしており,ZrO_2はCu相内の粒界に存在していた。ついで,金属と酸化物の混合比が反応後の組織に及ぼす影響をCu_2OとFeの反応で調べた。この時生じる反応はCu_2O+Fe=2Cu+FeOおよび4Cu_2O+3Fe=8Cu+Fe_3O_4の2種類があり,Fe/Cu_2O比が高いほど生成物中のFeOの比率が高かった。以上の系では,すべて反応に伴って組織が微細化していったが,次に微細化しないCu_2O-Ni系を調べた。この系では1000℃,100時間の反応で緻密な焼結体が得られた。組織を調べると,Cu基地中に球状のNiOが孤立して分散しており,NiO中にCu-Ni合金が存在していた。この系では,反応前の粉末の粒径以下に微細化していないが,CaCl_2,NaClを添加すると組織が微細化し,特にNaClの効果は顕著であった。
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