| 研究概要 |
本研究は、高速充放電が可能な長寿命の新しい水素貯蔵合金電池用負極材料の開発に必須の電極特性の解明を材料学的見地からおこなっている。それらのために、高速充放電の繰り返しに伴うガス発生、電極劣化、反応性の低下といった基本的な電気化学的反応機構に関して電極上での表面化学反応を追求・解明し、高速充放電2次電池開発への基礎的知見を得る事を目的としている。
LaNi_5系合金に関して、Niを添加元素(Al,Mn,Co)で置換した合金の、繰り返し充放電特性を電気化学的に測定した。さらに、その合金に濃アルカリ煮沸処理を施し充放電特性に及ぼす影響を測定した。また、それらの電極材料に関して気相水素ガスとの反応特性に関しても平行して測定し、電気化学的特性と総合的に比較検討を行った。Mn,Coの添加は初期活性化に効果的であることがわかった。また、KOHによるアルカリ処理は初期活性化の促進と、酸化に対する耐性を増することが見いだされた。
超高真空状態で作製した合金の清浄表面とH_2との反応性の測定を行い、LaNi_5系合金にAlを添加した合金では、O_2を単原子層程度、あらかじめ吸着させることにより、反応初期の反応確率が1〜2桁増加することが見いだされた。また、このAlを添加した合金は、大気中で急速酸化させた場合のもののほうが真空中で徐々に酸化させたものより水素化速度が大きかった。これらの結果からLa-Ni-Al系合金に置いて不定比なAl酸化物あるいは複合酸化物がH_2分子の解離を促進しているものと考えられる。
|
