研究概要 |
ニッケル-水素電池は、従来のニッケル-カドミウム2次電池に比べ環境汚染物質を含まず、高容量であるため、次世代の蓄電池として実用化が始まっている。特にその負極材料としての水素貯蔵合金はニッケル-水素電池の性能を左右するため重要である。本研究はニッケル-水素電池の利用分野を広げるべく、高速充放電可能な電極の開発を目的に負極としての水素貯蔵合金の組成、電極作製法、前処理等に関して検討を行った。 充放電容量に関してはLaNi_5が適しているが、電解液中での耐久性に欠けるためNiを他の金属で置換することが有効かどうかの検討を行った。Al,Mnで置換することにより水素平衡圧を下げ、高温でも充電により吸蔵された水素が気体として放出されることが防げ、容量が増加することがわかった。また、Coで置換することにより、電極寿命を大きく延ばすことができることがわかった。 負極は水素貯蔵合金の微粉化による、集電性の低下および容量低下が生じる。集電体としては多孔質金属が最も安定であった。また、水素貯蔵合金粉体の決着材は高アルカリ中で安定なものとしてフッ素系樹脂が適当であった。 LaNi_<25>Co_<25>合金負極を、電解液としての80℃の6mol/l-KOH溶液中で前処理することにより、過電圧を低下させ、充電初期に大きな充電電流が流せることがわかった。超高真空中での水、酸素、水素との反応の解析結果からも、Co添加とアルカリ溶液中での前処理は電極材料の対被毒性を高めることがわかった。 以上のことから、高速充放電可能なニッケル-水素電池用電極開には、1.電極容量および寿命を改善する、Al,Mn,Coを添加した合金の使用。2.電極強度および集電を高める集電材と決着材の組み合わせ。3.負極の失活を防ぎ、対被毒性を高める前処理などが必要なことがわかった。
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