銅-鉛合金の燒結組織と燒結特性に及ぼすメカニカルグラインデイング(MG)の影響について熱膨張測定および組織、構造の観察により検討した。高エネルギー・ボール・ミルにより十分に微細粉砕された合金粉は粒径約50nm前後の結晶子から構成されることが示された。その結果得られる鉛の分散は、これらの粉末の燒結体の耐摩耗の改善を期するに十分であることが期待された。水素雰囲気中でのこれらMG粉末の等速加熱燒結において、特異な膨張現象が観察された。即ち、膨張一収縮曲線において2つのピークが見られ、一つは673K、もう一つは973Kで現れた。燒結は二番目のピークを過ぎてから生じ、そのときの収縮量はMG時間の増加ともに増加する。 また、燒結機構については等温加熱燒結時の挙動を調べることにより考察した。等温燒結においても始めに膨張が生じてから収縮を伴う燒結が進行した。この収縮に伴って、銅粒子の成長が時間の1/3乗則に載って進んだ。このときに得られた銅粒子成長のための活性化エネルギーはMG:0時間、6時間、20時間の粉末に対してそれぞれ、85、173、230kJ/molとなった。このような活性化エネルギーの差異はMGによって与えられた銅粒子の形態によるものと推察された。
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