Ti-50mol%Al合金の1123Kのクリープにおけるε_mの応力指数n値は150MPa以下で約3の一定値であるが、150MPaを越えると、応力の増加にともないn値は増加し、200MPaでは約8に達した。n値の変化が生じる応力を臨界応力σ_Cと呼ぶと、σ_Cにおけるε_mは約10^<-8>s^<-1>である。 最小クリープ速度ε_mを示す時点での転位組織の応力依存性と内部応力σ_iの負荷応力σ_a依存性とを比較検討した。σ_Cを越えるとn値が増加するのは、σ_Cを越える応力下ではε_mを示す時点で発達したサブグレインが形成し、それらが動的再結晶粒と同様、クリープ軟化因子として働き、大きなクリープ速度を生じさせ、n値を増加させたものと結論した。 1223Kにおいて、σ_C以下の負荷応力68.6MPaでのQcを求めた。Qcは応力には依存しないが、試験温度には強く依存し、温度の増加にともなって340から700kJ/molにまで増加した。動的再結晶による軟化という組織因子をとおしての温度依存項を排除しても、Qcがいまだ強い温度依存性を示した理由を検討するため、負荷応力49〜98MPaの範囲においてε_mを示した時点での内部応力σ_i測定を試みた。σ_aに対するσ_iの比σ_i/σ_aは1173Kを越えると大きく減少した。そして、有効応力σ_e一定でのクリープの活性化エネルギQc^*は約270kJ/molであり、温度依存性は消失した。これらのことから、Qcが340から700kJ/molにまで増加したのは、おもにσ_iの温度依存項が高温側で大きく増加したことに起因するものと結論した。
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