デヒドロアスコルビン酸(DAA)がSH基を有するジチオスレイトール(DTT)によって迅速にアスコルビン酸(AA)に還元される反応とアスコルビン酸オキシダーゼ(ASOD)触媒反応によってAAがDAAに酸化される反応を組み合わせると、AAとDAAの間でサイクリック反応が成立することを実証し、この反応を用いた還元型だけでなく酸化型も測定できるビタミンCの化学増幅型バイオセンサを作製することができた。酵素溶液を用いる方法は増幅率がアスコルビン酸オキシダーゼの触媒活性とサイクリック反応に関与するジチオスレイトールの濃度及びpHに依存するが、10倍以上増幅されることが明かになった。さらにシリカビーズにアスコルビン酸オキシダーゼを固定化した膜を酸素電極に装着したバイオセンサを用いてAAとDAAの増幅率を測定した。その結果、AAだけでなく、従来、電気化学センサでは検出されなかったDAAも同様に増幅測定出来ることが分かり、初めて総ビタミンCセンサの作製を実現することが出来た。そして、ジチオスレイトール濃度5x10^<-3>M、pH7.0の増幅条件下で、総ビタミンCの検量線は直線領域が1x10^<-6>M-3x10^<-5>Mと1桁以上低濃度側にシフトし、1x10^<-5>Mの総ビタミンCの最大増幅率が22.5倍、検出感度が5x10^<-7>Mに上昇することが分かった。そして実際の果汁などに応用したところ、総ビタミンCの増幅測定が高感度で行えることが明かになった。また実試料中にはポリフェノール類などジチオスレイトールを酸化する共存物質が多量に含まれている場合があることが分かった。そこでとこれらの試料については、あらかじめ試料溶液とジチオスレイトールを反応させて妨害を除いた後に測定するという極めて簡単な前処理法を採用すればてジュース、果汁中の総ビタミンCの測定に極めて有効であることが明かとなった。
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