研究概要 |
[1]積層欠陥の生成機構とその制御 炭素還元法を用いてβ‐SiC粉末を合成時における積層欠陥の生成機構に関して調べた。炭素原料としてグラファイトとカーボンブラック粉末、ケイ素原料としてSi,SiO,SiO_2粉末を用いて、β‐SiC粉末を合成した。Siとグラァイトを使用した場合に積層欠陥密度の最も低いβ‐SiC粉末の合成が可能であった。反応性が高いことからSiO_2とカーボンブラックの組み合わせが一般に良く用いられるが、この場合は生成粉末中にウイスカと球状粒子が混在する。TEMによる観察でも、ともにウイスカの方により多くの積層欠陥が存在することが判明した。様々な組み合わせによる生成実験から、生成反応を次のように考えた。 SiCの生成反応は(3)、または(2 SiO_2(S)+C(S)→SiO(g)+CO(g)‥(1) 4)を経由した(5)の反応の2 SiO_2(S)+2C(S)→Si(s,l)+2CO(g)‥(2)つの経路が考えられる。(3)の SiO(g)+C(s)→SiO(s)+CO(g)‥(3) 反応は固-気相であるから、 2SiO(g)→Si(s,l)+SiO_2(S)‥(4) (5)の固相または液相反応より Si(s,l)+C(s)→SiC(s)‥(5) 反応性が高く積層欠陥が生成し易いと考えられる。 [2]積層欠陥の消滅過程の速度論的解析 積層欠陥密度の変化(減少)と粒成長を古典的な反応式と表面拡散が律速する粒成長速度式を使用して速度論的に考察し、その結果から既に提案した積層欠陥の消滅メカニズムの妥当性を検討した。積層欠陥密度の計算には積層欠陥プロフィールを基準した試験式を用いた。 欠陥消滅速度の解析には、Avrami‐Eroffev式の定数(m)の値から欠陥消滅が拡散律速により進行することが分かった。また、粒成長速度は、多孔体の粒成長が表面拡散律速で起こると仮定して導出されたNichols‐Mullinsの式に良く従った。
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