金属および半導体のナノメートルナイズのコロイド粒子のイオン注入によるガラス中への生成を検討して以下の成果を得た。 1)リンを注入することにより3〜4nmの大きさのアモルファスリンコロイドが生成することができた。そして、熱処理により1〜2μmまでコロイドサイズを大きくしたサンプルとの比較により、約0.4eVのバンドギャップのブルーシフトが観測された。 2)上記の試料について縮帯四波混合法(レーザーペルス巾20nsec)により3次の非線形光学感受率(χ^<(3)>)を測定し、χ^<(3)>の値として10^<-6>esuを得た。この値はCdSe微結晶分散ガラスに匹敵し、アモルファス半導体のナノサイズコロイドが結晶半導体コロイドと同様な大きいχ^<(3)>を示す場合があることを初めて見出したことになる。 3)Agをシリカガラスとリン酸塩ガラスに注入し、コロイドの生成をラザフォード後方散乱(RBS)と透過型電子顕微鏡観察により検討した。シリカについてはAgコロイドのサイズとRBSの巾の関係を、リン酸ガラスについてはコロイドの生成域がイオンビームの径よりも大きいという新しい現象をそれぞれ見出した。 4)シリカガラスへイオン注入を行った場合、どんなインプラントがコロイドを生成するか?ということを予想するためのクライテリオンを提案した。
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