研究概要 |
微小全固体式電池系電解質および光メモリへの応用を目的として,(1)F‐O‐Si‐Pbフッ化物イオン含有系ならびに(2)Cul‐MoO_6‐P_2O_5系薄膜の作製と微細構造に関して検討した。 1.SiO_2‐PbO‐PbF_2系薄膜 (a)レーザー光誘起相変化 RFスパッタ装置により(放電ガス圧;0.06〜0.07Torr,スパッタ時間;45分)アモルファス膜を作製した。この薄膜に3mW‐He‐Neレーザーを時間を変えて照射したところ,析出結晶相は照射時間に関わらずα‐石英およびPb_3SiO_5であった。薄膜は,レーザー光照射1/500秒では,約10μm径強の相変化(結晶化)領域ができ,1秒では約20μm径まで成長した。 (b)イオン伝導性 薄膜は,Arrheniusの式に従うイオン伝導性を示し、500Kでの伝導率は1.1×10^<-5>S/cmでバルクガラスの約2桁倍であり,活性化エネルギーは106.5kJ/molであった。 (c)Fイオンの分布と膜構造 XPSスペクトルより,Fイオンの濃度は一様だが,比Si‐F/Pb‐Fは膜表面から内部に向かってわずかに減少しており,Si‐O‐Si→Si‐O^-+F‐Si反応による非架橋酸素の増加と一致した。しかし,膜内に黒色の金属鉛のコロイドと思われる領域が生成する場合もあり,必ずしも最適条件の発見に至っていない。また,レーザー光の小径化や,F含有率の多い薄膜の作製が課題として残された。 2.CuI‐MoO_3‐P_2O_5(M=Ag,Cu)系薄膜 (a)レーザー光誘起相変化 スパッタ膜は,RF出力が100Wではアモルファス,それ以上ではγ-CuIが析出した。アモルファス薄膜にレーザーを照射したところ、穿孔が観察されるのみで相変化(結晶化)しないことがわかった。 (b)伝導性 生成膜は絶縁体であり,ターゲット中のCu^+イオンはプラズマ内でCu^<2+>に酸化されているものと結論した。
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