研究概要 |
微小全固体式電池系電解質および光メモリへ材料開発の基礎研究として,(1)F-O-Si-Pb系および(2)CuI-MoO_4-P_2O_5系アモルファス薄膜のレーザー照射による相変化と伝導性に関し検討した。 1.F-O-Si-Pb系アモルファス薄膜 本系アモルファス膜は,レーザー照射時のアモルファス-結晶相変化はフッ化物イオンの存在に関係がないことが確認できた。これは,いずれも膜の比O/Siが大きく,独立珪酸塩に近いガラス構造であるためと考えた。また,フッ化物イオンの量はHFとの接触では富化が困難であった。一方,3mW He-Neレーザー(λ=632.8nm)を1/500秒照射すると,11μm径の領域でα-SiO_2の結晶化が見られ,所期の高伝導相PbF_2による伝導パスを形成できなかった。しかし,本系薄膜は,照射エネルギーを現在のレベル以下に設定すれば,可逆的相変化を引き起こすものと期待できる。 2.CuI-MoO_4-P_2O_5系アモルファス薄膜 高Cuイオン伝導性を有する本系ガラス組成25CuI・25Cu_2O・25MoO_4・25Cu_3(PO_4)_3のターゲットを,Arガス圧0.01Torr・rf出力100Wでスパッタリングして得られたアモルファス薄膜は,SEM写真ではきめの粗い膜構造で,550K以下では伝導率は10^<-8>S/cm程度でほぼ絶縁体であった。また,rf出力を上げるに従いγ-CuIの立方体粒子が発達してきたが,膜中ではCuは2価イオンとして存在していると考えた。 100Wでスパッタリングした膜をHe-Neレーザー(3mW)で照射すると,F-O-Si-Pb系と異なり1/500秒ですでに8μm径の穿孔が見られ,1秒の照射では12μm径となったが,いずれの場合も結晶相の析出は見られなかった。したがって,本系は,穿孔によるライトワンス形式の光メモリには応用可能であると考えられる。
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