一般にセラミック原料粉体を形成し常圧で焼結する場合、粒子が微細で成形体の初期充填密度が高い程低温で緻密に焼結する。 本研究では、アルミナを試料として一次粒子の形態および粒度組成の異なる粉体を作製し、得られた粉体の粒度分布の測定、電子顕微鏡による観察、格子定数の測定を行った後、焼結体を作製し嵩密度、熱膨張、電子顕微鏡により微構造を観察し粉体性状の焼結に及ぼす影響について検討した。 その結果得られた粉体は粉砕機の種類により若干異なるが、乾式法に比し湿式法は微細化が進み、結晶子経は減少した。格子歪は乾式粉砕物の方が大きく、粒子形態は湿式粉砕物が角ばっているのに対し乾式では粉砕が進むにつれて丸味を帯てきた。成形体の嵩密度は乾式粉砕物が大きいが焼結体の嵩密度は同温度の場合、微細化の進んだ湿式粉砕物が大きくなる。湿式粉砕後乾式粉砕を加えると成形体の嵩密度は増大することなどを明らかにした。 また平均粒径の細かい粉体と平均粒径を2-12μmの範囲で変えた粗い粉体の2種類の粉体からなる混合粉体について、その充填および焼結性に与える粗い粒子の大きさの影響を検討した。 その結果、より大きな粗い粒子を含む形成体は密度が高く、大きな気孔径および広い気孔径分布である。細かい微子の体積比が小さい範囲では、焼成温度にかかわらず、粗い粒子が小さいほど混合粉体の緻密化ははやく進行した。細かい粒子の体積比が高い範囲では、粗い粒子が小さいほど、焼成温度の低い場合の混合粉体の緻密化ははやく進行したが、焼成温度が高い場合の混合粉体の緻密化ははやく進行する事などを明かにした。
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