1.本研究の目的: 本研究では、従来のコンクリート材料に代わり得る建築材料用大型焼成物を開発し、その生成メカニズムの調査と二三の機械的性質の評価を目的としている。そこで平成4年度は、まず焼成収縮が小さく、しかも建材として十分な強度を有するセラミックス材料の製作プロセスについて検討した。 2.建材作製プロセスにつての基本的な考え方: 小さな焼成収縮と十分な強度という相反する命題を両立させるために、高温安定性を有するセラミックス骨材を、小量の結合剤で強固に結合させるプロセスの開発が必要である。骨材としてはワラストナイトの粗粒を選択し、これを低温で強固に結合させるための助剤としてトバモライトを使用した。 3.建材製作の手順: 平均粒度200#に篩別したワラストナイト粗粒に、5あるいは10wt%のトバモライト微粒体と少量の有機バインダーとを添加し、十分に混合後、10φ-14hの円柱形の金型成形した。燒結は別に行った実験を参照に1000〜1200℃、3時間とした。得られた焼成品の二三の機械的性質、吸水率の測定、構成相のX線分析、SEM、TEMによる組織観察を行った。 4.実験の経過:燒結後の円柱の圧縮強度、焼成収縮量ともにほぼ当初の設定条件を満足できることが確認できた。焼成収縮が均等でなかった場合に、圧縮強度がばらつくので、成形法、測定法の改良も含めて次年度に一部実験を行う予定である。そして、とくに高強度が得られているトバモライト10wt%添加品について、TEM観察を中心とした手法で、粒界結合相の生成状況について考察を進めつつある。
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